東大卒サラリーマンのお勉強ブログ

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電池のお話

ヒロです。

今日は電池について簡単にお話ししたいと思います。

 

なぜいきなり電池の話かというと、私の大学院の時の研究テーマだったからです。

私は工学部の化学系の学科を出ていまして、その時に電池を扱っていました。

一口に電池といっても色々ありますが、私の研究テーマはリチウムを使った電池についてのものでした。

 

というわけで今回は電池の構成要素の話に始まり、様々な電池を2種類に分けてみたいと思います。

今回の分類基準は「電解液」です。

 

本題に入る前に電池の基本構造についてお話していきます。

電池は大きく「正極」、「負極」、「電解液(電解質)」の3つの要素に分けることができます。

物質中には「電子」と呼ばれるものがたくさん存在しており、物質によって電子を放出しやすかったり、逆に受け取りやすかったりします。

基本的な電池の一つであるボルタ電池やダニエル電池には正極に銅、負極に亜鉛が使われており、亜鉛から放出された電子を銅が受け取ることで電気エネルギーが発生します。

つまり、正極と負極が意味するところは、

 

正極・・・電子を受け取るもの

負極・・・電子を放出するもの

 

となります。

電子の放出しやすさ・受け取りやすさは金属(本当は金属に限りませんが簡単のため)によって異なるので、異なる金属を導線で結べば電子は移動するわけです。

とはいえ銅もそんなにたくさん電子はいらないので、これだけだと取り出せるエネルギーはごくわずかです。

そこで必要になるのが電解液です。

電解液中にはプラスイオンとマイナスイオンが存在していて、それらが移動することで連続的に電気を流せるようになるのです。

 

大半の電池には電解液として水溶液が使われていて、例えば前述のボルタ電池には硫酸水溶液が使われています。

水溶液を使うメリットとしてはコストが低いことや、燃えないので安全なことなどがあげられます。

一方でデメリットとして挙げられるのが、水の分解電圧があまり高くないことによる電池設計の自由度の低さです。

 

中学や高校の実験で水の電気分解をやったことがある人も多いと思いますが、あれは電圧をかけることにより水が反応し水素と酸素が発生するものです。

そしてその時の理論電圧は1.23ボルトになります。

 

先ほど金属の種類によって電子の放出しやすさが異なると書きましたが、電子をより放出しやすい金属と、受け取りやすい金属を組み合わせることで、電池の電圧を高くすることが可能です。

 

しかし電圧を1.23ボルトよりも高くしてしまうと、水の分解反応が起こってしまい電池としては使えなくなってしまうのです。

 

では電圧を上げても電池として作動させるためにはどうしたらいいか。

今までの話を読んでいれば容易に想像がつくかと思います。

そうです、水を使わなければいいのです。

このような電解液は、水を使っていないということで、「非水系電解液」とよばれます。そのまんまですね。

非水系電解液には有機溶媒(油のようなもの)を使うことが多いので、「有機電解液」と呼ばれることもあります。

 

非水系電解液を使用した電池の代表格が皆さんのスマホにも使われているリチウムイオン電池です。

リチウムイオン電池は3ボルト以上の電圧があるため大きなエネルギーを取り出せるのが特徴ですが、その反面燃えやすい非水系電解液を使用しているために安全面での課題が大きいわけです。

 

ということで「電解液」という観点から電池を2つに分類するというのは、「水系」か「非水系」かということでした。

 

 

最後に一つ。

皆さんが普段乗っている車に使われている鉛蓄電池は電解液として硫酸が使われており、水系電解液のグループに入ります。

鉛蓄電池の電圧は約2ボルトです。

 

 

・・・

 

 

あれ?

水系電解液が使えるのは1.23ボルトまでじゃなかったの?

鉛蓄電池って大丈夫なの?

 

 

という疑問が生まれたところで今日はここまで。

次回をお楽しみに!